中古車は走行距離だけで判断できない?6万kmでも納車前整備が多かった実例

消耗品・交換時期

中古車を選ぶとき、年式と一緒に気になるのが走行距離だと思います。

「6万kmなら、まだ大丈夫そう」

「10万kmを超えていないから、大きな整備は必要ないだろう」

そう考える方も多いでしょう。

ただ、実際に中古車を点検すると、走行距離だけでは状態を判断できない車があります。

今回納車前整備を行ったのは、2018年式・走行距離約6万kmの四駆車でした。

極端に古い車でも、過走行車でもありません。

しかし、12か月点検と同じ内容で確認すると、フロントブレーキ、タイヤ、ロアブーツ、バッテリー、ミッションオイル、デフオイル、下回り塗装など、かなり多くの整備が必要になりました。

この記事では、この実例をもとに、中古車を走行距離だけで判断できない理由と、購入時に確認したいポイントを解説します。

中古車の状態は走行距離だけでは決まらない

同じ6万kmの中古車でも、使われ方によって状態は変わります。

短期間で距離を走った車もあれば、長い期間あまり動かされずに保管されていた車もあります。

また、雪の多い地域や融雪剤が使われる道路を走っていた車は、走行距離が少なくても下回りのさびが進んでいることがあります。

今回の車も、下回り全体にさびが見られました。

特にリヤブレーキまわりやホーシング、バックプレートにさびが目立っていましたが、穴が開いたり、崩れたりするほどではありません。

すぐに乗れない状態ではなくても、この先の使用を考えて確認や対処が必要な状態でした。

納車前は12か月点検と同じ内容で確認した

今回の車は車検ではなく、12か月点検と同じ内容で納車前整備を行いました。

私のところでは、中古車だからといって簡単な目視だけで済ませることはありません。

車検が必要な車は車検整備、車検が残っている車でも12か月点検と同じ内容で確認します。

たとえ前回の点検後に1,000km程度しか走っていなくても、半年ほど経過していれば、走行距離だけで判断せず一通り確認します。

今回も試運転をする前に車を上げ、ブレーキや足回りを確認しました。

そこで見つかったのが、フロントキャリパーピストンの動きの固さです。

フロントキャリパーは左右とも動きが固かった

フロントブレーキを確認したところ、左右ともキャリパーピストンを押し戻す動きが固い状態でした。

完全に固着していたとまでは断定できません。

ただ、左右とも動きが重く、ローターのさびも強かったため、そのまま納車してよい状態か判断しにくいものでした。

そこで、フロントキャリパーのピストンとシールキットを交換しました。

作業後は、整備前よりもピストンの動きが軽くなっています。

中古車の納車整備では、費用を抑えることも大切です。

しかし、安く仕上げることを優先しすぎて、納車から1年後や次の車検で同じ場所の修理が必要になれば、購入した方の負担になります。

今回は、今後の再整備を減らす意味でも、納車前に手を入れておいたほうがよいと判断しました。

ローターは交換せず研磨した

フロントブレーキローターも、さびが強く出ていました。

そのままでは表面の状態を判断しにくかったため、今回は交換ではなく研磨しています。

ブレーキローターは、さびがあれば必ず交換するわけではありません。

厚みや腐食の状態を確認し、研磨後も使用できる範囲なら再使用することがあります。

反対に、研磨すると使用限度を下回る場合や、腐食が深い場合は交換が必要です。

今回はキャリパー整備と合わせてローターを研磨し、ブレーキの状態を整えました。

フロントキャリパーを分解したため、作業した前側についてはブレーキフルードを入れ替え、エア抜きも行っています。

タイヤは溝があっても2本交換した

今回のタイヤは、溝が少なかったから交換したわけではありません。

リヤタイヤの1本だけメーカーが違っていたため、2本を同じ銘柄にそろえて交換しました。

新しいタイヤ2本はフロントへ装着しています。

タイヤは溝だけでなく、

  • 4本のメーカーや銘柄
  • 製造年
  • ひび割れ
  • 偏摩耗
  • 左右の状態

も確認する必要があります。

左右でメーカーが違っていても、すぐ走れなくなるわけではありません。

ただ、タイヤによってゴムの硬さや排水性などが違うため、今回は納車前にそろえました。

次の車検を考えて交換した部品もある

ロアボールジョイントブーツには、深い亀裂や破れはありませんでした。

軽いひびがある程度で、その時点では車検に通らない状態ではありません。

ただ、次の車検まで使用した場合に、ひびがどこまで進むかは分かりません。

そのため今回は左右とも交換しました。

バッテリーも点検時に弱っていたわけではありませんが、使用から約3年経過していたため交換しています。

パンク修理キットも使用期限が約1年半残っていましたが、次の車検までに期限を迎える可能性を考えて交換しました。

これは、「今使えるか」と「次の車検まで安心して使えそうか」を分けて考えた結果です。

もちろん、すべての中古車で同じ部品を交換するわけではありません。

車の状態や販売価格には限度があるため、どこまで先回りするかはバランスを見て判断します。

オイル類や消耗品は納車前にそろえる

私のところでは、中古車の納車前に、基本的に次のものを交換しています。

  • エンジンオイル
  • オイルエレメント
  • ワイパー
  • エアコンフィルター
  • キーレス電池

エンジンオイルは交換履歴が分かっていても交換します。

オイル量が減っていないかは別に確認しますが、購入後のメンテナンスのスタートを分かりやすくするためです。

今回の車にはスノーワイパーが付いていたため、通常のワイパーブレードへ交換しました。

ヘッドライトにくすみがある場合は磨くこともありますが、今回は板金工場でボディー磨きとコーティングを行い、ヘッドライトも一緒に施工する予定だったため、整備側では作業を重ねませんでした。

必要な作業を何でも追加するのではなく、納車までのほかの工程と重ならないように調整することも大切です。

6万kmだったためミッションオイルとデフオイルも交換

今回の車は四駆で、走行距離は約6万kmでした。

変速不良や異音が出ていたわけではありませんが、予防整備としてミッションオイルとデフオイルを交換しました。

中古車を購入したばかりなのに、次の車検ですぐ油脂類の交換を勧められたら、購入した方は負担に感じると思います。

そのため、今後交換時期を迎えそうな油脂類については、走行距離や状態を見ながら納車前に整えます。

ただし、ミッションオイルなどは車種ごとの指定や過去の整備状況も関係します。

どの車でも6万kmになったら無条件に交換する、という意味ではありません。

下回りのさびを確認して塗装した

今回の車は下回り全体にさびが見られたため、状態を確認して下回り塗装も行いました。

下回り塗装をしたからといって、すでに出ているさびが完全になくなるわけではありません。

また、状態を確認せず、さびの上から塗ればよいというものでもありません。

腐食の程度を確認したうえで施工し、今後の進行を抑える目的で行います。

中古車は外装や室内がきれいでも、下回りの状態が同じとは限りません。

雪の降る地域で使う車なら、購入前や納車整備の際に、下回りの状態も確認しておきたいところです。

今回行った主な整備

今回の車では、主に次の整備を行いました。

  • エンジンオイル・オイルエレメント交換
  • エアコンフィルター交換
  • ワイパーブレード交換
  • キーレス電池交換
  • バッテリー交換
  • パンク修理キット交換
  • 夏タイヤ2本交換
  • ロアボールジョイントブーツ左右交換
  • ミッションオイル交換
  • デフオイル交換
  • フロントローター研磨
  • フロントキャリパーピストン・シール交換
  • 作業した前側のブレーキフルード入れ替え
  • 下回り塗装

正確な整備総額は確認していません。

ただ、部品一つひとつは高額でなくても、これだけ重なると金額は大きくなります。

中古車は仕入れた時点で、納車整備にいくら必要になるかをすべて見抜けるとは限りません。

点検すると想定以上に整備が増え、販売側の利益がほとんど残らない車が出ることもあります。

それでも、納車後すぐに問題が出そうな場所を、そのままにして渡すわけにはいきません。

中古車は価格だけで比較できない

同じ年式、同じ車種、同じ走行距離でも、中古車の価格には差があります。

その理由は、人気や装備だけではありません。

納車前に、

  • どの内容で点検するか
  • どの消耗品を交換するか
  • ブレーキをどこまで確認するか
  • タイヤやバッテリーをどう判断するか
  • 油脂類や下回りまで整備するか

によっても、購入後に必要となる費用は変わります。

車両価格が安くても、購入直後にタイヤ、バッテリー、オイル類、ブーツなどの交換が重なれば、結果的に出費が増えます。

反対に販売価格が少し高くても、納車前に必要な整備が行われていれば、購入後の負担を抑えられることがあります。

中古車を比較するときは、車両価格だけでなく、納車前に何を点検し、何を交換したのかも確認したほうがよいでしょう。

まとめ

中古車は、走行距離が少なければ整備も少なく済むとは限りません。

今回の2018年式・約6万kmの四駆車では、12か月点検と同じ内容で確認した結果、ブレーキ、タイヤ、ロアブーツ、バッテリー、油脂類、下回りなど、複数の整備が必要になりました。

その時点ではまだ使える部品でも、次の車検までを考えて交換したものがあります。

ただし、将来必要になりそうな部品をすべて交換すればよいわけではありません。

車の状態、販売価格、今後の使用期間を見ながら、納車後すぐに困りにくいところまで整えることが大切です。

中古車を選ぶときは、年式や走行距離、車両価格だけでなく、納車前にどのような点検と整備が行われるのかも確認してみてください。

同じ6万kmの中古車でも、納車時の状態や購入後にかかる費用は同じではありません。

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