エアコンフィルターは交換したほうがいい?交換しないとどうなるか整備士が解説

エアコン

車検や点検の見積もりで、エアコンフィルターの交換をすすめられることがあります。

そのとき、

「まだ風は出ているけど、本当に交換が必要なの?」
「汚れていても車検には通るのでは?」
「交換しないと、エアコンが壊れるの?」

と疑問に思う方もいるでしょう。

エアコンフィルターは、汚れているからといって、すぐに車が走れなくなる部品ではありません。汚れだけで車検に通らないというものでもありません。

一方で、使い続けると風量が弱くなったり、においが付きやすくなったりするため、快適性を保つためには定期的な交換がおすすめです。

私の経験では、においが強くなってから交換しても、フィルターだけでは取りきれないことがあります。

この記事では、エアコンフィルターの交換時期、交換しない場合の影響、車検との関係、自分で交換するときの注意点を、20年以上の整備経験をもとに解説します。

エアコンフィルターは何をしている部品?

エアコンフィルターは、車内へ入ってくる空気に含まれるほこりや花粉などを受け止める部品です。

家庭用エアコンのフィルターに近い役割を持っていますが、車では外の空気だけでなく、内気循環時に車内の空気を通すこともあります。

フィルターには、一般的な集じんタイプのほか、におい対策を重視した活性炭入りなど、いくつかの種類があります。

私の勤務先では、活性炭入りのフィルターを使用することが多いです。

ただし、純正品や社外品にはさまざまな種類があり、すべてが同じ性能ではありません。価格だけでなく、自分が花粉対策や脱臭性能のどちらを重視するのかも考えて選ぶとよいでしょう。

交換時期は1年または1万kmを目安にする

交換時期は車種やメーカーの指定によって異なるため、まずは取扱説明書やメンテナンスノートの記載を優先してください。

一般的には、1年ごと、または1万〜1万5,000km程度が一つの交換目安として案内されています。使用環境によっては早めの確認が必要です。

私の場合、一般的な乗用車であれば、1年または1万km程度を目安に交換するのがよいと考えています。

特に次のような環境では、早く汚れることがあります。

  • ほこりの多い場所を走る
  • 落ち葉の多い場所に駐車する
  • 花粉や黄砂が多い時期によく使う
  • 走行距離が多い
  • 外気導入をよく使う

反対に、走行距離が少ない車でも、年数がたてば湿気やにおいの影響を受けます。

そのため、走行距離だけでなく、使用年数や実際の汚れ方も含めて判断したほうがよいでしょう。

エアコンフィルターを交換しないとどうなる?

エアコンフィルターを長期間交換しない場合に考えられるのは、主に風量の低下とにおいです。

フィルターにほこりや落ち葉が詰まると、風の通り道が狭くなります。

ブロアモーターと呼ばれる、室内へ風を送るモーターが正常に回っていても、フィルターを風が通りにくければ、吹き出し口から出る風は弱くなります。

その結果、

  • エアコンがなかなか冷えない
  • 暖房の効きが悪く感じる
  • フロントガラスの曇りが取れにくい
  • 風量を上げないと快適にならない

といった症状につながることがあります。

ただし、エアコンが冷えない原因はフィルターだけではありません。

風は十分に出ているのに冷たくない場合は、エアコンガスやコンプレッサーなど、別の原因を確認する必要があります。

においが出てからでは取れないこともある

エアコンフィルターを交換する理由として、私が特に重視しているのがにおいです。

フィルター自体ににおいが付いている場合は、交換によって改善することがあります。

しかし、長期間使ってエアコン内部までにおいが付いてしまうと、新しいフィルターに替えただけでは取りきれないことがあります。

エアコン内部には、空気を冷やすエバポレーターや、風を通すダクトがあります。においの原因がこうした場所にある場合は、フィルター交換とは別に、エアコン内部の洗浄や消臭が必要になることもあります。

そのため私は、においが強くなってからではなく、においが付きにくい状態を保つために定期交換するという考え方をおすすめしています。

エアコン内部の洗浄については内容が別になるため、別の記事で詳しく紹介します。

新しい車でも独特のにおいが出ることがある

エアコンのにおいは、長年使用した車だけに出るとは限りません。

私の経験では、新車から半年〜1年ほどしかたっていないのに、足のような独特のにおいが出た車がありました。

原因を一つに断定することはできませんが、その車ではエアコンフィルターを交換すると、においが改善しました。

毎日乗っている本人は少しずつにおいに慣れるため、気づいていないこともあります。点検で車を移動した整備士や、たまに同乗する家族のほうが先に気づくケースもあります。

ただし、フィルター交換で改善したからといって、すべてのにおいがフィルターに原因があるとは限りません。

交換してもにおいが残る場合は、エアコン内部や車内のマット、シートなど、ほかの原因も考える必要があります。

活性炭入りや消臭用品は必要?

活性炭入りのエアコンフィルターは、ほこりや花粉を受け止めるだけでなく、においを抑える効果も期待できます。

私の勤務先では、活性炭入りを使うことが多いため、通常タイプとの価格差が大きくなければ、においが気になる方には選択肢になると思います。

ただし、活性炭入りへ交換すれば、すでにエアコン内部へ付いたにおいが必ず消えるわけではありません。

あくまで、外から入るにおいを軽減したり、においが付きにくい状態を保ったりするための補助と考えるのが自然です。

また、フィルターへ取り付ける、わさび由来成分を使った抗菌・消臭用品もあります。

私も、におい対策としておすすめすることがあります。

こちらも強いにおいを消すための修理用品ではなく、菌の増殖やにおいの発生を抑えるための予防的な用品として考えたほうがよいでしょう。

汚れていても車検には通る?

エアコンフィルターが汚れていること自体は、通常、車検の合否へ直接関係するものではありません。

そのため、黒く汚れているからといって、それだけを理由に車検へ通らないわけではありません。

ただし、車検に通ることと、交換したほうがよいことは別の話です。

フィルターの詰まりがひどく、フロントガラスへ送るデフロスターの風が弱くなれば、雨の日や冬場に曇りを取りにくくなる可能性があります。

曇りを取る機能は安全運転に関わるため、風がほとんど出ない状態を「車検に関係ないから問題ない」と考えるのはおすすめできません。

実際には、フィルターがかなり詰まっていても、少しは風が通ることが多いと思います。

それでも、快適性や視界確保を考えれば、風量が落ちるほど汚れたフィルターは交換しておいたほうが安心です。

自分で交換しても大丈夫?

エアコンフィルターは、自分で交換しやすい車種も多い部品です。

多くの車では、助手席側のグローブボックス付近に取り付けられています。

ただし、車種によって交換方法は異なります。グローブボックスを外す必要がある車もあれば、奥に手を入れにくく、作業しづらい車もあります。

自分で交換する場合は、適合するフィルターを確認したうえで、取扱説明書や商品の説明をよく読んで作業してください。

特に注意したいのは、次の3点です。

葉っぱやごみを下へ落とさない

古いフィルターの上には、ほこりだけでなく、葉っぱや小さなごみが載っていることがあります。

フィルターを勢いよく引き抜いたり、傾けたりすると、それらが下へ落ちることがあります。

車種によっては、フィルターのすぐ下にブロアモーターがあります。

葉っぱがブロアモーターへ入ると、交換後に「カサカサ」「パタパタ」といった異音が出ることがあります。

フィルターはゆっくり引き出し、見えるごみがあれば、先に取り除いてから交換するのがよいでしょう。

交換した直後から異音が出るようになった場合は、葉っぱなどが下へ落ちていないか確認が必要です。

フィルターの向きを確認する

エアコンフィルターには、空気が流れる方向や、取り付ける上下が指定されている商品があります。

矢印が書かれていても、それが「上方向」を示すのか「空気の流れる方向」を示すのかは、商品によって異なります。

古いフィルターを外す前に向きを確認し、新しい商品の説明表示に従って取り付けてください。

グローブボックス横のダンパーを正しく戻す

車種によっては、グローブボックスの脇に、開閉の動きを調整するダンパーが付いています。

フィルター交換のために外したダンパーを、正しい位置へ戻さないままグローブボックスを閉めると、ダンパーや取付部分が当たることがあります。

その状態で無理に閉めると、取付部が斜めになったり、位置がずれたりして、

  • グローブボックスが閉まりにくくなる
  • グローブボックスとインパネの隙間が広くなる
  • 一部分だけ隙間が狭くなる
  • 左右の位置がずれて見える

といった状態になることがあります。

交換後にグローブボックスが引っかかる場合は、強く押し込まないでください。

一度開けてダンパーや取付位置を確認し、無理なく閉まることと、周囲の隙間が大きくずれていないことを確認しましょう。

工場へ頼んだほうがよいケース

交換方法が簡単な車であれば、自分で作業しても問題ないと思います。

一方で、次のような場合は整備工場などへ依頼したほうが安心です。

  • グローブボックスの外し方が分からない
  • 樹脂部分が固く、壊れそうに感じる
  • ダンパーや配線が付いている
  • フィルターを外したら大量の葉っぱがあった
  • 交換後に異音が出た
  • 交換しても風量やにおいが改善しない

エアコンフィルター自体の交換は難しい整備ではありません。

ただし、内装部品は無理に力をかけると、爪や取付部が割れることがあります。

途中で不安を感じた場合は、無理に続けないほうが結果的に安く済むこともあります。

まとめ

エアコンフィルターの交換目安は、車種の指定を確認したうえで、一般的な乗用車なら1年または1万km程度と考えるのが分かりやすいと思います。

汚れていても、それだけで車検に通らなくなる部品ではありません。

しかし、交換せずに使い続けると、風量の低下やにおい、フロントガラスの曇りが取りにくくなる原因になることがあります。

特ににおいは、エアコン内部まで付いてからでは、フィルターを交換しただけで取れない場合があります。

そのため、私は汚れやにおいがひどくなってからではなく、定期的に交換しておくことをおすすめします。

自分で交換する場合は、フィルターの向きだけでなく、葉っぱをブロアモーター側へ落とさないことや、グローブボックス横のダンパーを正しく戻すことにも注意してください。

車検に通るかどうかだけで判断するのではなく、風量、におい、快適性、安全な視界確保まで含めて、自分の車に交換が必要かを考えるのがよいでしょう。

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