車をしばらく動かしていなかったあと、ホイールの隙間からブレーキローターを見ると、茶色くさびていることがあります。
「このまま走って大丈夫?」
「少し走れば、ブレーキをかけたときにさびは取れる?」
「ローターを交換しないと危ないの?」
と気になる方もいるでしょう。
ブレーキローターは鉄でできているものが多く、雨や洗車のあと、しばらく車を動かさなかっただけでも表面にさびが出ることがあります。
薄い表面さびなら、走行してブレーキを使ううちに取れる場合があります。
一方で、さびが厚くなっていたり、表面が荒れていたりすると、走るだけではきれいにならず、研磨や交換が必要になることもあります。
今回は、納車前の中古車でブレーキローターの表側と裏側に強いさびがあり、厚みを確認したうえで研磨した実例をもとに、ローターのさびをどう考えるか解説します。
ブレーキローターはなぜさびる?
ブレーキローターは、ブレーキパッドで挟み込むことで車を減速させる部品です。
表面がむき出しになっているため、水分が付着すると比較的簡単にさびが出ます。
特に、
- 雨の日に走ったあと
- 洗車したあと
- 屋外で保管している車
- 数日から数週間動かしていない車
- 中古車として長く在庫されていた車
などでは、ローターの表面が茶色くなることがあります。
ローターが少しさびているからといって、すぐに故障と判断する必要はありません。
大切なのは、さびの見た目だけでなく、厚みや表面の状態を確認することです。
薄い表面さびなら走ると取れることがある
表面がうっすら茶色くなっている程度のさびなら、走行して何度かブレーキを使うことで取れる場合があります。
ブレーキをかけると、パッドがローター表面に当たるため、薄いさびが削られていくからです。
中古車でも、少し在庫期間があった車では、この程度の表面さびは珍しくありません。
ただし、さびがある状態では、最初の数回だけブレーキから軽い擦れるような音が出る場合があります。
走行後にローター表面が均一にきれいになり、音もなくなるなら、表面だけの軽いさびだった可能性があります。
ただ、一般の方が見た目だけで「これは走れば取れる」と判断するのは難しいと思います。
さびが厚い、表面がでこぼこしている、走ったあともまだらに残る場合は、点検を受けたほうがよいでしょう。
判断するときは、さびの厚みを見る
私がローターのさびを確認するとき、まず見るのはさびの厚みです。
薄く色が付いた程度なのか、それとも厚く盛り上がっているのかで、対応は変わります。
研磨や交換を検討するのは、例えば次のような状態です。
- さびが厚く盛り上がっている
- ローター表面が荒れている
- さびが深く食い込んでいる
- ブレーキ面がまだらになっている
- パッドが均一に当たっていない
- 裏側まで強くさびている
今回の中古車は、表側だけではなく裏側もさびが強い状態でした。
そのまま走ればきれいになる程度とは考えにくく、ローターの厚みを確認したうえで研磨しています。
表側がきれいでも裏側がさびていることがある
ブレーキローターは、ホイールの隙間から表側を見ることができます。
ただ、表側がそれほど悪く見えなくても、裏側に強いさびが出ているケースは案外あります。
そのため、外から見える面だけで状態を判断することはできません。
今回の車は表側も裏側もさびていましたが、実際には裏側だけ悪い車もあります。
タイヤを外さなければ見えにくいため、車検や1年点検、中古車の納車前整備などで確認することになります。
「外から見たらきれいだから大丈夫」とは言い切れない部分です。
見た目がさびていても制動力が大きく変わらないことがある
ブレーキローターがさびていると、すぐブレーキが効かなくなるように感じるかもしれません。
しかし、見た目にさびが目立っていても、ブレーキテスターで測ると、制動力自体には大きな差が出ない場合があります。
そのため、私は音や見た目だけでローター交換を決めません。
車検に通るだけの制動力が出ているかと、今後もその状態で安心して使えるかは、分けて考えます。
車検では制動力に問題がなくても、
- ローター表面が荒れている
- さびが厚い
- パッドの当たりが悪い
- 今後さびがさらに進みそう
という場合は、予防整備として研磨や交換を提案することがあります。
車検に通る状態と、整備をおすすめする状態が同じとは限りません。
ローター研磨とは?
ローター研磨は、ローター表面を薄く削って、ブレーキパッドが当たる面を整える作業です。
さびや軽い段付き、表面の荒れがあっても、研磨後に十分な厚みが残る場合は再使用できることがあります。
今回のローターも、現在の厚みを確認したうえで研磨しました。
研磨後は、表側と裏側のブレーキ面がきれいにそろっています。
さびがあるからといって、必ず新品ローターへ交換するわけではありません。
ローターの状態と残り厚みを見て、
- そのまま使用する
- 研磨して再使用する
- 新品へ交換する
のどれが適切かを判断します。
研磨できないローターもある
ローターには、1枚の板のような形をしたものと、内部に空間や冷却用のフィンがあるベンチレーテッドディスクがあります。
ベンチレーテッドディスクは、内部が空洞になっている構造です。
さびが強い場合や、すでに摩耗して厚みが少なくなっている場合は、研磨できる量が限られます。
研磨すると、そのぶんローターは薄くなります。
研磨後に使用限度を下回る可能性がある場合は、無理に研磨せず交換します。
また、表面だけではなく、内部のフィン部分まで腐食が強いローターも、交換を検討したほうがよい場合があります。
ローターが研磨できるかどうかは、見た目だけでなく、厚みの測定と腐食の状態を合わせて判断します。
ローターを研磨したらパッドも交換する?
ローターを研磨したからといって、必ずブレーキパッドも新品に交換するわけではありません。
今回の車は、
- パッドの残量が十分にあった
- ひどい偏摩耗がなかった
- 再使用できる状態だった
ため、パッド表面を整えて再使用しました。
ローターだけきれいにしても、パッドの当たり面が荒れていると、きれいに接触しない場合があります。
そのため、再使用するときもパッドの状態を確認し、必要に応じて当たり面を整えます。
反対に、パッドの残量が少ない、偏摩耗している、表面が傷んでいる場合は、ローターと一緒に交換することがあります。
走れば取れるさびと、修理が必要なさびの目安
一般の方がローターを見たときの目安は、次のように考えると分かりやすいと思います。
走行で取れる可能性があるさび
- 表面がうっすら茶色い
- 雨や洗車の直後に出た
- 数日動かしていなかった
- 少し走ったあと均一にきれいになった
点検を受けたほうがよいさび
- さびが厚く盛り上がっている
- 表面がでこぼこしている
- 走ったあともまだらに残る
- ローターの一部にパッドが当たっていない
- 裏側の状態が確認できない
- 中古車や長期保管車でさびが強い
研磨や交換を検討する状態
- さびが深く食い込んでいる
- 研磨しないとブレーキ面が整わない
- 研磨後に使用限度を下回る
- 内部まで腐食している
- ローターの厚みが不足している
ただし、これはあくまで一般的な目安です。
実際にはタイヤを外し、表裏の状態とローターの厚みを確認して判断します。
私ならこう考えます
ブレーキローターに薄い表面さびが出ているだけなら、すぐ研磨や交換とは判断しません。
少し走行してブレーキを使い、表面が均一にきれいになるかを確認します。
一方で、今回の中古車のように表側と裏側の両方に厚いさびがあり、走るだけでは状態を整えにくい場合は、厚みを測ったうえで研磨を検討します。
研磨後も十分な厚みが残り、ブレーキ面がきれいに整うなら、ローターを再使用できることがあります。
ただし、さびが深い、厚みが足りない、ベンチレーテッドディスクの腐食が強い場合は交換を選びます。
大切なのは、さびがあるかどうかだけではありません。
さびの厚み、表裏の状態、ローターの残り厚み、パッドの状態を合わせて判断することです。
まとめ
ブレーキローターは、雨や洗車、しばらく車を動かさなかっただけでも表面にさびが出ることがあります。
うっすら茶色くなった程度のさびなら、走行してブレーキを使ううちに取れる場合があります。
一方で、さびが厚い、表面が荒れている、走ったあともまだらに残る場合は、研磨や交換が必要になることがあります。
今回の中古車では、ローターの表側と裏側に強いさびがありましたが、厚みを確認したうえで研磨し、ブレーキ面はきれいに整いました。
パッドは残量があり、ひどい偏摩耗もなかったため、当たり面を整えて再使用しています。
見た目にさびがあっても、ブレーキテスター上の制動力に大きな差が出ない場合はあります。
ただし、車検に通ることと、今後もそのまま使うことは別の判断です。
ローターのさびが気になる場合は、外から見える表側だけで判断せず、点検時に裏側や厚みも確認してもらうとよいでしょう。


