車の下回り塗装は必要?さびてから施工しても意味があるのか

消耗品・交換時期

車検や点検の見積もりに「下回り塗装」や「シャーシブラック」と書かれていると、

「本当に必要なの?」
「すでにさびている車に塗っても意味がないのでは?」
「車検のたびに毎回塗らないといけないの?」

と迷う人もいると思います。

下回り塗装は、すべての車に必ず必要な整備ではありません。

ただし、雪が降って融雪剤を使う地域や海沿いを走る車、これまで下回り塗装をしていない車では、さびを抑える方法のひとつとして検討する意味があります。

この記事では、下回り塗装が必要になりやすい車、すでにさびてから施工する意味、シャーシブラックと長持ちする防錆剤の違いなどを、整備の現場で感じていることも交えて説明します。

下回り塗装は本当に必要?

下回り塗装は、車検に通すために毎回必ず行うものではありません。

雪がほとんど降らず、海からも離れていて、数年で車を乗り換える予定なら、整備の優先順位がそれほど高くないこともあります。

一方で、次のような車は検討する価値があります。

  • 冬に融雪剤がまかれる道路を走る
  • 海沿いや潮風の当たる場所で使用する
  • 下回り塗装を一度もしていない
  • 今後も長く乗る予定がある
  • 下回りやフェンダーの内側にさびが出始めている

車の下には、雨水だけでなく、道路の泥や砂、融雪剤などが付着します。

特にフェンダーの内側や、車体と足回りの取付部分は、泥が入り込みやすく、通常の洗車では落としにくい場所です。

実際に車をリフトで上げて下回りを水で流すと、見た目以上に泥が出てくることがあります。

私の経験では、右側よりも左後ろ側から多くの泥が流れ出る車もあります。

日本では道路の左側を走るため、路肩側にたまった泥や砂を左側のタイヤで巻き上げ、フェンダーの内側や車体の隙間へ入り込むためではないかと考えています。

車種や走る道路によって違うため、すべての車で左側に多くたまるとは限りません。

ただ、泥がたまった部分は水分も残りやすいため、何も施工していない車では、さびが出るきっかけのひとつになります。

さびが出る前に塗ったほうがいい

下回り塗装は、できればさびが出る前や、腐食が少ないうちに施工したほうが効果を期待しやすいです。

鉄の表面へ水分や塩分が直接触れるのを抑えられるため、新車時や腐食が進む前に施工するのが理想です。

ただし、新車の納車直後でなければ意味がないわけではありません。

下回りの腐食が進む前に施工できれば、防錆を考えるうえで十分検討する価値があります。

逆に、すでに多少さびが出ている車でも、下回り塗装がすべて無意味になるわけではありません。

すでに腐食している部分からさびが広がることもありますが、何も塗らなければ、まださびていない表面にも新しいさびが出る可能性があります。

そのため、さびが出始めた車でも、まだ傷んでいない部分を守り、全体の進行を少しでも抑える目的で施工する意味はあると私は考えています。

下回り塗装は腐食を直す修理ではない

注意したいのは、下回り塗装をしても、すでに腐食した鉄板が元の状態へ戻るわけではないことです。

下回り塗装は、あくまで表面を保護し、今後のさびを抑えるためのものです。

鉄板に穴が開いている、足回りの取付部分が大きく腐食している、強度に影響するほど鉄が薄くなっている場合は、塗装だけで済ませることはできません。

そのような場所を黒く塗って見えなくするのではなく、まず車の状態を説明し、必要な修理や部品交換を考えます。

腐食の場所や程度によっては、そのままでは車検に通せないこともあります。

車検に通すための修理が必要な腐食と、今後の予防として行う下回り塗装は、分けて考える必要があります。

シャーシブラックと長持ちする防錆剤の違い

下回り塗装には、比較的手頃なシャーシブラックと、持続性を重視した防錆剤があります。

シャーシブラックは、車検や点検のタイミングで施工しやすく、塗膜がはがれた部分を補修しやすいのが特徴です。

費用を抑えながら定期的に手入れしたい人には、選びやすい方法だと思います。

一方、スリーラスターやエンドックスなどの防錆剤は、シャーシブラックと比べて塗膜がやわらかく、飛び石などの衝撃で割れたり、はがれたりしにくい傾向があります。

そのため、費用は上がりますが、持続性を重視する場合に選択肢になります。

施工料金は店や使用する量によって変わりますが、私の勤務先では、シャーシブラックと長持ちするタイプの防錆剤で、1本あたり約2,500円の価格差があります。

車によって使う本数や塗る範囲が違うため、実際の総額は見積もりを確認したほうがよいでしょう。

私の勤務先では、通常の下回り塗装はシャーシブラックが中心です。

長持ちするタイプの防錆剤は、お客さんから「しっかりした下回り塗装をしたい」と希望があったときに施工しています。

価格が高いものを一方的にすすめるのではなく、車をあと何年乗る予定なのか、予算をどこまでかけるのかで選べばよいと思います。

一度塗ったら毎年全面を塗る必要はない

シャーシブラックは、1年たったら必ずすべて塗り直さなければならないものではありません。

前回の塗膜がしっかり残っていれば、その部分はまだ役目をしています。

飛び石や走行中の泥、水の影響で、一部だけはがれることはあります。

それでも、最初から何も塗っていない車と、全体の多くに塗膜が残っている車では、下回りの守られ方は違うと思います。

次の車検や点検では、はがれた部分だけ補修し、その次に全体の傷みが増えてきたら、もう一度全面を塗る方法でもよいでしょう。

また、前に塗った部分へ重ねて塗ることもできます。

塗膜が残っていれば必ず塗らなくてよいという意味ではなく、毎回全面施工するか、傷んだ部分だけ補修するかは、下回りの状態や予算で決めればよいということです。

塗装の状態は地面へ車を置いたままでは確認しにくいため、車検や定期点検で下から見てもらうと判断しやすくなります。

下回りは全部真っ黒にすればいいわけではない

下回り塗装は、見える部分すべてに塗料をかければよいわけではありません。

マフラーやブレーキ周辺など、塗料を付けないようにする場所があります。

私の勤務先では、スタビライザーにも基本的には塗らず、ボルトやナット部分も必要以上に厚く塗り固めないようにしています。

ボルトやナットへ塗料をがっちり付けてしまうと、あとで部品を外すときに作業しづらくなるためです。

大切なのは、下回り全体をきれいに黒く見せることではありません。

床下やリヤフェンダーの内側、リヤボディーとアームの付け根など、さびやすい場所を守りながら、今後の整備に支障が出ないように施工することです。

以前、下回りにさびが出ていた中古車では、下回りを洗浄して乾燥させたあと、シャーシブラックを施工しました。

そのときは、さびをすべて削り落としてから塗るような本格的な修復ではありません。

すでに出ているさびを新品の状態へ戻すのではなく、今後の進行を少しでも抑える目的で施工しています。

下回り塗装をしていても洗浄はしたほうがいい

下回り塗装をしていても、融雪剤や泥が付いたままになれば、塗膜には負担がかかります。

理想をいえば、冬に融雪剤がまかれた道路を走ったあとは、下回りを水で流したほうがよいです。

ただし、走るたびに毎回洗うのは現実的ではありません。

普段の洗車と同じタイミングで、ホースを使って下回り全体を軽く流すだけでも違います。

特に意識したいのは、リヤフェンダーの内側、リヤボディーとアームの付け根、足回り周辺です。

ガソリンスタンドの下部洗浄も、やらないよりはよいと思います。

ただし、機械の水がフェンダーの内側や細かい隙間まで届きにくいことがあります。

自宅で洗える環境があるなら、下回り全体へ軽く水をかけたうえで、泥がたまりやすい場所をホースで狙って流すとよいでしょう。

実際には、下回りまで意識して洗っている人は、それほど多くないと思います。

毎回完璧にやろうとせず、洗車するときに少し下回りも流すくらいから始めれば十分です。

車体側の腐食は修理が大きくなりやすい

足回りのアームなどは、厚みがあり、腐食が進んだ場合でも部品交換で対応できることがあります。

一方、リヤボディーやフェンダーの内側、足回りの取付部分など、車体側の薄い鉄板が腐食すると、修理が大がかりになりやすくなります。

そのため私は、黒く塗られた足回り部品だけでなく、車体側に泥がたまっていないか、さびが広がっていないかを特に気にしています。

下回り塗装を考えるときも、見た目を黒くすることより、後から修理しにくい車体側を守ることが大切です。

下回り塗装は車の使い方と予算で決める

下回り塗装は、すべての車に必要なものでも、車検のたびに必ず行うものでもありません。

ただし、融雪剤を使う地域、海沿いを走る車、これまで下回り塗装をしていない車、これから長く乗る予定の車では、検討する価値があります。

さびが少ないうちに施工するのが理想ですが、すでに多少さびていても、まだ傷んでいない部分を守る意味はあります。

シャーシブラックで費用を抑えながら補修していくのか、持続性のある防錆剤を選ぶのかは、車の状態、今後乗る年数、予算によって変わります。

私は、下回り塗装をしていない車には、まず現在の状態と選択肢を説明します。

そのうえで、今すぐ必要なのか、今回は見送るのか、お客さん自身に決めてもらえばよいと思っています。

施工したあとも、洗車のタイミングで下回りやフェンダー内側を軽く流し、点検のときに塗膜の状態を確認しながら、必要な部分を補修していくのが現実的です。

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