車検でブーツ交換は必要?切れる前に交換したほうがいい理由

消耗品・交換時期

車検の見積もりで、

「ロアボールジョイントブーツに亀裂があります」
「タイロッドエンドブーツの交換が必要です」

と言われても、何の部品なのか分からない人は多いと思います。

ブーツは小さなゴム部品なので、

「まだ切れていないなら交換しなくてもいいのでは?」
「少し亀裂があるだけで、本当に交換が必要なの?」

と感じることもあるでしょう。

実際、浅い亀裂であれば、必ずしもすぐ交換するとは限りません。

ただし、首の皮一枚のように深く亀裂が入っている場合は、完全に切れる前に交換しておいたほうがよいことがあります。

この記事では、車検でよく指摘されるブーツの役割や、切れる前に交換をすすめる理由について、整備の現場目線で解説します。

車検でよく言われる「ブーツ」とは?

車検や点検でよく確認するブーツには、主に次のようなものがあります。

  • ロアボールジョイントブーツ
  • タイロッドエンドブーツ
  • スタビリンクブーツ

これらは、足回りの関節部分を覆っているゴム製の部品です。

ブーツの中にはグリスが入っており、金属部分が滑らかに動けるようにしています。

また、外から水や砂、泥などが入るのを防ぐ役割もあります。

ブーツ自体は小さな部品ですが、内部のジョイントを守る大切な部品です。

ブーツが切れるとどうなる?

ブーツが完全に切れると、中に入っているグリスが外へ出てきます。

そのまま放置すると、切れた部分から水や砂が入り、内部のジョイントが摩耗しやすくなります。

すぐに車が走れなくなるとは限りませんが、摩耗が進むと部品のつなぎ目に余分なすき間や動きが出ることがあります。

整備の現場では、この状態を「ガタがある」と表現します。

ガタが大きくなると、走行中に異音が出たり、部品本体の交換が必要になったりすることがあります。

ブーツだけの交換で済む状態と比べると、部品代や工賃が高くなりやすいため、完全に切れる前に交換したほうが、結果的に修理費を抑えられることがあります。

少しの亀裂でも交換したほうがいい?

ブーツに亀裂があるからといって、すべてすぐ交換するわけではありません。

表面に浅い細かな亀裂があるだけなら、次回の点検まで様子を見ることもあります。

ただし、亀裂がかなり深く、首の皮一枚でつながっているような状態なら、私は交換をおすすめします。

車検場へ持ち込む時点で完全に切れていなければ、そのまま検査に通る可能性はあります。

しかし、深い亀裂は本当にすぐ切れてしまうことがあります。

車検整備をしたときには切れていなかったのに、検査時や納車後まもなく切れてしまう可能性もあります。

そのため、車検に通るかどうかだけではなく、近いうちに切れる可能性まで考えて判断する必要があります。

ブーツの亀裂は見つけにくいこともある

ロアボールジョイントブーツやタイロッドエンドブーツは、大きく裂けてグリスが出ていれば比較的分かりやすいです。

しかし、亀裂の場所やブーツの形によっては、状態を確認しにくいことがあります。

正面からは問題なさそうに見えても、後ろ側や見えにくい部分からグリスが出ていることもあります。

下回りを洗浄したあと、改めて確認してみると、

「後ろ側からグリスが出ていた」

と気づくケースもあります。

そのため、表面を少し見ただけでは判断しにくい部品です。

切れてからでは修理が大きくなることがある

ブーツが切れてから交換しても、内部のジョイントに傷みがなければ、ブーツだけの交換で済むこともあります。

ただし、すでに水や砂が入り、内部が摩耗していると、ブーツ交換だけでは済まないことがあります。

タイロッドエンドブーツが切れたまま使い続け、内部のジョイントまで傷んでしまうと、ブーツだけではなくタイロッドエンド本体の交換が必要になることがあります。

ロアボールジョイントブーツも同じで、ブーツの内部まで傷んでいる場合は、ブーツ交換だけでは済まないことがあります。

車種によっては、ロアボールジョイント単体で交換できず、ロアアームごとの交換が必要になります。

こうなると作業も大がかりになり、修理費も高くなります。

ブーツだけで交換できる状態のうちに作業しておいたほうが、負担を抑えられる可能性があります。

小さなガタは点検で分かりにくいこともある

ジョイントが大きく摩耗し、ガタも大きくなっていれば、車をリフトで上げて点検したときにも比較的分かりやすくなります。

しかし、摩耗が始まったばかりの小さなガタは、リフトで上げた状態で点検しても、はっきり分からないことがあります。

走行中には異音や違和感があっても、点検時には症状が再現しない場合もあります。

そのため、完全に切れてからガタを確認するよりも、深い亀裂の段階で交換しておくほうが安心です。

ロアブーツとタイロッドエンドブーツは早めの交換がおすすめ

ロアボールジョイントブーツとタイロッドエンドブーツは、完全に切れる前に交換したほうがよい部品です。

浅い亀裂なら様子を見ることもありますが、深く亀裂が入っている場合は、ブーツだけで交換できるうちに作業するのがおすすめです。

特に車検時は、今の状態だけではなく、次の点検まで問題なく使えそうかも含めて考えます。

「今は切れていないから大丈夫」

とは言い切れないのが、ブーツ交換の判断が難しいところです。

スタビリンクブーツも切れていれば交換が必要

スタビリンクにも、ジョイント部分を保護するブーツが付いています。

スタビリンクブーツは、ロアボールジョイントブーツやタイロッドエンドブーツと比べて、亀裂の状態が分かりにくいものもあります。

浅い亀裂であれば、すぐ交換せずに様子を見る場合もあります。

ただし、ブーツが完全に切れている場合は、車検には通らないため交換が必要です。

また、スタビリンクのジョイントにガタが出ると、段差や荒れた路面を走ったときにゴトゴト音が出ることがあります。

すぐに走行不能になる部品ではありませんが、切れた状態をそのままにしてよいわけではありません。

「今すぐ必要」と「おすすめ」は分けて考える

車検の見積もりでは、交換部品がすべて同じ緊急度とは限りません。

ブーツの場合は、おおよそ次のように考えると分かりやすいです。

浅い亀裂

表面に細かな亀裂があるだけなら、すぐ交換せず、次回点検まで様子を見る場合があります。

深い亀裂

首の皮一枚のように深く亀裂が入っている場合は、まだ完全に切れていなくても交換がおすすめです。

車検時点では通る可能性があっても、近いうちに切れる可能性があります。

完全に切れている

グリスが漏れている、またはブーツが完全に裂けている場合は交換が必要です。

放置すると内部のジョイントまで傷み、修理費が高くなる可能性があります。

まとめ

車検でブーツ交換をすすめられたときは、単に「今、車検に通るか」だけで判断しないことが大切です。

浅い亀裂なら様子を見ることもありますが、深い亀裂まで進んでいる場合は、完全に切れる前に交換したほうが安心です。

ブーツが切れて内部のジョイントまで傷むと、タイロッドエンド本体やロアアームごとの交換になる場合があります。

そうなる前に、ブーツだけで交換できるうちに作業したほうが、結果的に修理費を抑えられることがあります。

見積もりを見て迷ったときは、

「今すぐ交換が必要なのか」
「まだ車検には通るが、近いうちに切れそうなのか」

を整備工場へ確認してみるとよいでしょう。

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