車検の見積もりは全部やる必要がある?必要整備とおすすめ整備の見分け方

車検・点検

車検の見積もりを見て、

「これを全部やらないと車検に通らないの?」

と驚いたことがある方もいると思います。

しかし、見積もりに載っている整備を、すべて行わなければ車検に通らないとは限りません。

車検の見積もりには、大きく分けて、

  • 車検に通すために必要な整備
  • 今後の故障や不具合を減らすためのおすすめ整備

が含まれています。

実際には、車検に必要な修理はそれほど多くなく、見積もり金額の大部分がおすすめ整備ということもあります。

なお、見積もりの説明方法や作業の進め方は、店舗によって異なります。この記事では、私の職場で行っている対応を一例として紹介します。

まずは2つの総額を確認する

見積もりを見るときは、部品を一つずつ確認する前に、まず次の2つの金額を聞くと分かりやすくなります。

  • 車検に通すための最低限の総額
  • おすすめ整備まで行った場合の総額

私の職場では、電話で見積もりを説明するとき、まず諸費用を含めた最低限の金額を伝えます。

そのうえで、おすすめ部品まで交換した場合の総額も伝えます。

たとえば、

「最低限であれば11万円です。おすすめ整備まで含めると14万円です」

という形です。

そのあと、お客さんに、

「これはやる」
「これは今回は見送る」

と選んでもらい、選んだ内容でもう一度見積もりを作り直します。

最後に、

「今回は最低限のこの作業と、おすすめのこの部品を交換して、全部込みで12万円です」

と、最終的な総額を確認します。

部品ごとの金額を聞いても大丈夫

おすすめ整備の中に迷うものがあれば、

「これを交換すると、工賃込みでいくらですか?」

と聞いて大丈夫です。

たとえば、

「この部品は工賃込みで4,500円です」
「ワイパーゴムは700円です」

というように、部品ごとの金額を確認できます。

金額を聞きながら、今回やるものと見送るものを選び、最後に全部込みの総額をもう一度出してもらいましょう。

見積もり内容が多く、お客さんが悩んでいる場合は、電話で20分ほど説明することもあります。

金額が大きく、交換部品も多い場合は、電話だけで決めず、見積書を見ながら説明を受けた方が分かりやすいこともあります。

よくある聞き方

車検見積もりの説明中に、よく聞かれるのが次の2つです。

「今回は予算があるので、車検に必要な部分だけお願いします」

これは、まったく問題のない伝え方です。

もう一つは、

「おすすめの中で、特にやっておいた方がいいものはありますか?」

という聞き方です。

この場合、整備士はおすすめ整備の中から優先順位をつけて説明します。

今すぐ交換した方がよいものは、その理由を伝えます。

一方で、すぐに交換しなくてもよさそうなものについては、

「今回は見送って、次の点検でもう一度状態を確認しましょう」

と案内することもあります。

すべてを今回交換するか、すべて見送るかの二択ではありません。

次の点検を受けるかどうかでも判断は変わる

同じ部品の状態でも、普段から点検を受けている方と、次の入庫が2年後になりそうな方では、判断が変わることがあります。

半年点検や12か月点検を受けている方であれば、

「今回は見送って、次の点検で確認しましょう」

という判断がしやすくなります。

一方で、普段は点検を受けず、次に車を見るのが2年後の車検になりそうな場合は、その部品が次の車検まで持ちそうかを考えます。

2年間持たない可能性が高いと判断した場合は、今回の車検で交換をおすすめすることがあります。

過去の整備履歴や、次回点検を受ける予定があるかどうかも、判断材料になります。

おすすめ整備は断っても大丈夫

「最低限でお願いします」と伝えること自体は、悪いことではありません。

整備工場としても、お客さんの希望が早めにはっきりした方が、作業内容や金額を決めやすくなります。

ただし、最低限で依頼された場合でも、状態によっては強めに交換をおすすめすることがあります。

たとえば、ベルトから少し音が出ている程度なら様子を見ることもありますが、亀裂が進んでいる場合は、

「これは今回の車検で交換した方がよいと思います」

と、もう一度説明することがあります。

それでも見送る場合は、納品書に交換をおすすめした部品名を記載する店舗もあります。

同じ部品を何度もすすめられる理由

以前の車検や点検で交換をすすめられた部品が、そのまま未交換になっていれば、次の入庫時にも状態を確認します。

たとえば、前回ファンベルトの交換をおすすめしていても、今回も交換されていなければ、劣化の進み具合を見て、必要に応じてもう一度おすすめします。

そのため、同じ部品名が何度か納品書に記載されることがあります。

これは、同じものを何度も売ろうとしているというより、以前から経過を見ている部品を、今回も確認しているという意味です。

納品書に見送った部品が書かれていたら、次の点検や、不具合が出たときの参考になります。

車検中は連絡が取れるようにしておく

おすすめ整備を断られることよりも、作業中に連絡がつかない方が困ることがあります。

たとえば、事前にはエンジンオイルを交換しない予定でも、実際に確認すると、オイルがゲージにつかないほど少ない場合があります。

そのまま返すのが難しい状態であれば、交換してよいか確認が必要です。

しかし、電話がつながらなければ、作業を止めたり、いったんリフトから車を下ろしたりすることになります。

見積もりの返事を待っている間も、作業を止めることがあります。

あとから追加作業が決まると、もう一度リフトへ上げたり、段取りを組み直したりすることがあるためです。

部品注文には締め時間もあります。

返事が遅れると、部品の入荷や作業開始が遅れ、完成日が延びることがあります。

そのため、車検中はできるだけ連絡が取れるようにしておくと、作業がスムーズに進みます。

作業内容が決まったら、総額と完成予定日まで確認する

作業する内容が決まったら、次の内容を整理してもらうと分かりやすくなります。

  • 今回やる整備
  • 今回見送る整備
  • 諸費用を含めた最終的な総額
  • 部品の入荷予定
  • 車の完成予定日

整備工場側からは、たとえば次のように説明します。

「今回は最低限のこの作業と、おすすめのこの部品を交換して、全部込みで14万2,000円です。追加料金が発生する場合は、事前にご連絡します。部品が明日入るので、明日組み付けて、明後日の夕方にお返しできます」

ここまで確認できれば、作業内容や金額、完成日の認識違いを防ぎやすくなります。

他店で見積もりを取ってもいい

見積もりの内容や金額に納得できなければ、別の整備工場で見積もりを取るのも問題ありません。

ただし、車を実際に点検して見積もりを作る場合は、無料とは限りません。

ブレーキまわりや下回りまで確認するには時間がかかるため、店舗によっては見積料や点検料が発生します。

依頼する前に、料金がかかるか確認しておくと安心です。

また、同じ車を見ても、交換をすすめる基準は店舗や担当者によって多少異なります。

スパークプラグを交換時期でおすすめする人もいれば、不調が出てからでもよいと考える人もいます。

ファンベルトも、少し劣化があれば早めにすすめる人もいれば、異音が出ていなければ様子を見る人もいます。

見積もりの内容が違うからといって、すぐにどちらかが間違いとは限りません。

大切なのは、

なぜ交換をすすめるのか
今回見送ったら、どんな可能性があるのか
次の点検まで様子を見られるのか

を確認することです。

まとめ

車検の見積もりに載っている整備を、すべて行う必要があるとは限りません。

まずは、

  • 車検に通すための最低限の総額
  • おすすめ整備まで含めた総額

を確認します。

そのうえで、部品ごとの金額や優先順位を聞き、

  • 今回やるもの
  • 今回見送るもの
  • 次の点検で再確認するもの

に分けると判断しやすくなります。

最低限でお願いしても問題ありません。

ただし、整備中はできるだけ連絡が取れるようにし、作業内容が決まったら、最終的な総額と完成予定日まで確認しておくことが大切です。

分からないまま「全部お願いします」と答える必要はありません。

見積もりの説明方法や判断基準は店舗によって違います。今回紹介した内容も一例として参考にしながら、自分の予算と車の使い方に合った整備内容を選びましょう。

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