車検は最低限の整備だけでも通せる?あとで困らない考え方

車検・点検

車検の見積もりを見て、

「今回は最低限でお願いします」

と伝える方は少なくありません。

もちろん、車検は必要な部分だけ直して通すこともできます。

ただし、ここで知っておきたいのは、車検に通ることと、次の2年間故障せずに乗れることは別だということです。

車検に通れば、2年間安心というわけではない

車検は、検査をした時点で、車が決められた基準に適合しているかを確認するものです。

次の車検まで、故障しないことを保証する検査ではありません。

車検では、ブレーキ、ライト、タイヤ、排気ガス、足回りなど、決められた項目を確認します。

しかし、エンジン内部を分解して状態を確認したり、すべての電子部品や配線の内部まで調べたりするわけではありません。

たとえば、イグニッションコイルのような電子部品は、車検時に正常に作動していれば、内部の劣化まで見抜くことはできません。

車検のときには問題がなくても、数か月後に突然故障し、エンジンが振動したり、チェックランプが点灯したりすることがあります。

このような故障まで、車検ですべて予測することはできません。

「最低限」には2つの考え方がある

一口に「最低限」と言っても、人によって希望している内容は違います。

本当に車検を通すためだけの最低限であれば、エンジンオイル、オイルフィルター、ブレーキフルードなどは交換せず、車検に通らない部分だけを修理します。

一方で、次の車検までを少し考えた最低限であれば、

エンジンオイル
オイルフィルター
ブレーキフルード
亀裂が進んでいる足回りのブーツ類
切れそうなワイパーゴム

なども整備に含めることがあります。

どちらが正しいということではありません。

予算、年間走行距離、車をあと何年乗る予定なのかによって、判断は変わります。

見積もりは、必要なものから削っていく

私の場合は、最初から車検に通すだけの最低金額を出すというより、まず必要と思われる整備を見積もりに入れ、そこから予算に合わせて削っていくことが多いです。

「今回は見送っても大きな問題になりにくいもの」と、「できれば今回やっておいた方がよいもの」を分けて説明します。

最低限でお願いされた場合でも、無理に止めることはありません。

ただし、近いうちに交換した方がよい部品については、説明だけさせてもらい、見送った内容も納品書に残すようにしています。

あとから故障した場合は、もう一度車を預け、原因を調べ、部品を手配して修理することになります。

その場合、車検時に一緒に作業するより、診断料や工賃が追加でかかることもあります。

今回やった方がよいかを判断するポイント

整備を見送れるかどうかは、単に交換時期だけで決めるものではありません。

特に見るのは、

次の点検まで持ちそうか
放置すると本体まで傷む可能性があるか
突然動かなくなる可能性があるか
安全面への影響が大きいか

という点です。

ヒビがあるからすべて交換する、車検に通るから何もしない、という一律の判断ではありません。

現在の状態と、今後の車の使い方を見ながら優先順位をつけます。

足回りのブーツ類

タイロッドエンドブーツやロアボールジョイントブーツは、軽いヒビだけなら、すぐに交換しないこともあります。

実際、軽いヒビの状態から長く持つこともあります。

ただし、亀裂が深く、次の点検まで持たない可能性が高い場合や、破れると内部へ水や砂が入り、本体側まで傷むおそれがある場合は、車検と一緒に交換することをおすすめしています。

ヒビがあるかどうかだけではなく、亀裂の深さやグリスの漏れ、今後の走行距離などを見て判断することが大切です。

車検には通っても、あとで困りやすい部品

ベルト

ベルトは、ひび割れ、硬化、表面の傷み、異音の有無などを確認します。

少しひびがあるだけで、すぐに切れるとは限りません。

ただし、劣化が進んでいる場合は、車検後にキュルキュル音が出たり、状態によっては切れたりすることがあります。

走行距離だけで判断せず、使用年数や実際の状態を見て、次の点検まで持たない可能性が高い場合は交換をおすすめします。

スパークプラグ

スパークプラグは、車検に通るかどうかとは別の部品です。

ただし、交換時期を大きく過ぎると、エンジン不調やチェックランプの点灯につながることがあります。

警告灯が点いてから修理する場合は、原因を確認するための診断が必要になることもあります。

そのため、走行距離や交換履歴を確認し、交換時期に達している場合は、車検と一緒に交換することをおすすめしています。

バッテリー

バッテリーは、まず使用年数を一つの目安にしています。

小さいバッテリーなら4年ほど、大きめのバッテリーでも4〜5年ほど使っている場合は、交換をおすすめすることがあります。

年数が過ぎたからといって、すぐに使えなくなるわけではありません。

ただし、まだ十分に元気というより、何とか使えているだけの場合もあります。

テレビのリモコンの電池と同じように、昨日まで普通に使えていたのに、急にエンジンがかからなくなることもあります。

テスターの結果も確認しますが、あくまで判断材料の一つです。

テスターで良好と出ても、使用年数が長ければ突然上がる可能性があります。

そのため、テスターの数値だけを過信せず、使用年数、エンジンのかかり方、車の使われ方、交換履歴などを合わせて判断します。

エンジンオイルとオイルフィルター

エンジンオイルは、よく人間の血液にたとえられます。

交換を少し延ばしたからといって、すぐにエンジンが壊れるわけではありません。

しかし、「まだ大丈夫」と交換を後回しにしていると、エンジン内部に汚れがたまり、あとになって高額な修理につながることがあります。

取扱説明書には、交換時期が1万kmや1万5,000kmと記載されている車種もあります。

ただし、短距離走行や渋滞が多い使い方では、エンジンオイルにとって厳しい条件になります。

そのため、私は一般的な車であれば、5,000〜7,000km程度を一つの交換目安としておすすめしています。

オイルフィルターは、オイル交換2回に1回程度が目安です。

特にターボ車は、5,000km程度での交換をおすすめします。

ターボは高温、高速で回転する高額な部品であり、エンジンオイルによって潤滑や冷却が行われています。

オイル交換を怠ると、エンジンだけでなく、ターボ本体の故障にもつながる可能性があります。

ターボ車に乗るのであれば、こまめなオイル交換は必要な維持費だと考えた方がよいでしょう。

オイル交換を定期的にするつもりがないのであれば、ターボの付いていない車を選ぶ方が、あとで困りにくいと思います。

10万km以上、長く乗る予定であれば、エンジンオイルとオイルフィルターは特にこまめに交換しておきたい部分です。

最低限で通すこと自体が悪いわけではない

車検を最低限の整備で通すこと自体が、悪いわけではありません。

近いうちに乗り換える予定がある方と、あと10年乗る予定の方では、必要な整備も変わります。

年間3,000kmしか走らない方と、年間2万km走る方でも判断は違います。

大切なのは、金額だけを見てすべて削るのではなく、

何を見送ったのか
どのくらい持ちそうなのか
故障するとどんな症状が出るのか
あとで修理すると費用が増える可能性があるのか

を理解しておくことです。

車検に通ることと、次の2年間安心して乗れることは別です。

最低限で通す場合でも、必要な整備と、おすすめの整備を分けて説明してもらい、自分の使い方に合った内容を選ぶことが、あとで困らないための考え方だと思います。

車検と車検の間に一度状態を確認したい方は、1年点検についての記事も参考にしてください。

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